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[結成30周年特別企画]   

「そろそろ月に帰ろうか」について「語ろうか?」VOL.1

俳優 豊原功補さん の巻

 

絶滅危惧種劇団との深くて長いご縁と言えば、
名実共に実力個性派として活躍中の俳優、豊原功補さんは
劇団旗揚げ以前からのBKYUの盟友でありまして、
酒井晴人・東野醒子・影山晃子・蔵重美恵らの、とっても若かりし頃を知る人物。
BKYUの作品でも何度か同じ舞台を踏んでいるのです。
劇場に特設リングを設置し、リアルなボクシングの試合を
芝居に取り込むという大胆な芝居「THE  GONG!」を
弾長が書き下ろしたのは、1995年。功補さんとの唯一無二の
舞台空間を創りたかったから、と言われています。
THE GONG!(HP)(当時のパンフレットより)

と、そんな豊原功補さんが、2002年「そろ月」初演を観て
翌年の長野での再公演用パンフレットに、寄稿してくれました。
「BKYU未体験の方には、ぜひこの作品から」と、功補さん推薦の
「そろそろ月に帰ろうか」
30周年記念公演に向けて、当時のパンフレットから再録させていただきます。
功補さんの素敵なライナーノーツ、読んだらあなたもきっと観たくなる!

(2003年長野公演パンフレットより) 文:豊原功補

「そろそろ月に帰ろうか」という題名を見て、なにやらジャズの名盤を連想させるようなイカしたタイトルをつけたものだと思った。同時に“月に帰る”ということからおとぎ話のスタンダード「かぐや姫」を想い出した。
さて、激弾BKYU公演の「そろそろ月に帰ろうか」は、もちろん「かぐや姫」でもジャズでもない。物語はあくまでも<荒唐無稽な霊媒師>を介した<さまよう霊>と<残された女>のお話として進む。がBKYU演劇にかかるとこの場合、残されたのは<女>ではなく<男>であり、さまようのは<霊>ではなく、<つまずいた男がやり残したこと>である事ははっきりと感じ取れる。時に乱暴で生々しく、時に驚くほど子供っぽく、唐突に即興的な笑いを挟み、終盤酒井戯曲の真骨頂とも言うべき台詞の力で大胆に切なく観客の涙を誘うスタイルは激弾B級旗揚げ以来かたくなに貫き今も成熟させ続けている、いわばBKYUスタンダードであり、形式美だ。
そして、真にBKYUをしっかり支えているとも言えるのが、東野醒子を筆頭とした主力女性陣のそれこそ目の醒める巧みさと、今やBKYUの屋台骨はおれだと言わんばかりに奮起した芝居を見せる男性陣だと思う。これにはやはり同じ“技”を駆使して生きる自分にとって毎度頭の下がる思いを強いられてしまうばかりか、一作また一作と継続させていく上でしか得られない“業”というものを感じずにはいられない。もし、BKYU体験がまだお済みでないという方がいるのであれば、まずはBKYUスタンダードの名板のひとつになるだろうこの作品を是非一度味わって於いていただきたい。それともし、ここ何本か板の上でも老け役を担い、BKYUを引っ張る主宰・酒井晴人がそのうち本気で「そろそろ役者に帰ろうか」などと言いだしたらこの集団はもっとすごいことになるんじゃないかと、個人的には戦々恐々の思いでもある。

豊原功補(とよはらこうすけ)/82年、映画「ISAMI」でデビュー。TVドラマに「ロングバケーション」「のだめカンタービレ」「七つの会議」「平清盛」など、映画では「亡国のイージス」、「南極料理人」ほか多数。「受験のシンデレラ」では第5回モナコ映画祭の最優秀主演男優賞を受賞。実力個性派俳優として、映画、ドラマに多くの監督から声のかかる存在。話題の映画「寄生獣」に続き、2015年6月27日「ストレイヤーズ・クロニクル」公開が控えている。